天涯孤独の人は、自分が死んだら、死亡時の動き(死後の手続き)がどうなるかが気になると思います。
ここでは、天涯孤独の人が死んだあとの流れを簡単に説明し、さらに読者の疑問に回答します。
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天涯孤独の人の死後の動き
天涯孤独の人の死後の動きを簡単に説明します。
①自宅で死亡しているのが見つかった場合は、発見者が警察に連絡
もし、家で孤独死した場合は、いずれ誰かに発見されるでしょう。
会社の同僚などの知人かもしれませんし、不審に思った大家さんかもしれません。
いずれにせよ、発見したら発見者は当然警察に通報します。
②警察が事件か事故かなどの調査を実施
通報を受けた警察は、死亡原因が事故や病死なのか、事件なのかなどを調査します。
③警察や自治体が戸籍などから親族を探す
死亡原因に関わらず、親族などの関係者に連絡します。
親族を探す場合は、賃貸契約書の保証人や、戸籍などからたどって探します。
天涯孤独の場合は、調べても親族が見つからないことになるでしょう。
自治体が遺体を引き取り、火葬して無縁塚に納骨
親族も見つからず、遺体の引き取り先が無い場合は、自治体が遺体を引き取ります。
自治体により詳細は異なりますが、簡素な火葬・納骨が行われます。
一般的に、葬式は無く、直接火葬場で火葬されます。
そして、一定期間遺骨を保管し、その後、合祀(ごうし)という他の人と一緒に埋葬される「無縁塚」に納骨されます。
「無縁塚」は他の遺骨と混ざっているため、その後は取り出すことができません。
火葬などの費用はだれが負担する?
自治体が実施した火葬費用をだれが負担するかは、相続人がいるかいないかで異なります。
相続人がいる場合
天涯孤独と思っていても、戸籍をたどると実は血縁関係のある相続人が見つかったという場合は、相続人が負担することになります。
ただし、相続人がいた場合でも相続放棄したり、負担を拒否される場合もあります。
その場合は、次の「相続人がいない場合」の流れになります。
相続人がいない場合
相続人のいない天涯孤独の人の場合は、本人の所持金を利用します。
所持金では足りない場合は、所持品を売却したお金を利用します。
それでも足りない場合は、最終的に自治体が負担することになります。
知人が葬儀や火葬をした場合の費用は?
相続人がいない場合は、相続財産精算人が財産を管理します。
葬儀や火葬の費用に関しては、相続財産精算人に対して請求できるでしょう。
相続財産精算人については、以下を参考にしてください。
参考:天涯孤独の人が死亡したら遺産相続はどうなる?事前の対策も紹介!
また、他にも補助金制度もあるため紹介しておきます。
葬祭費の補助金制度
本人が国民健康保険や社会保険・共済組合の加入者であれば、葬儀や埋葬を行う方に葬儀・埋葬費用が支給される制度です。
葬儀終了後に自治体や加入先に申請をする事で支給されます。
支給条件や支給額は自治体によって異なるため、自治体にご確認ください。
葬祭扶助制度
本人が生活保護受給者の場合は、自治体から火葬・埋葬を行うための最低限の金額を支給できます。
以下の場合を対象に支給されます。
- 本人が生活保護を受けていて、遺族・親族以外の人が葬儀をする場合
- 本人が生活保護を受けていて、遺族・親族が葬儀をするが、葬儀を行う自身も生活保護を受けているなど葬儀費用が捻出できない場合
支給額は自治体によって異なるため、自治体にご確認ください。
部屋に残された所持品はどうなる?(遺品整理)
部屋に残された所持品の遺品整理についても紹介します。
賃貸の場合の遺品整理
通常は、相続人が遺品も相続するため、相続人が整理します。
しかし、天涯孤独の場合は、だれも相続しないため、やむを得ずオーナーが処分することが多いです。
自分が死んだら、最終的にオーナーが処分してくれそうですが、オーナー負担でやっていただくことになるため、ちょっと申し訳ない結末ではあります。
持ち家の場合の遺品整理
持ち家の場合は、死後は相続人が、持ち家の遺品も相続します。
天涯孤独でだれも相続する人がいない場合は、所有者不在の空き家に遺品も残った状態のまま放置されるでしょう。
生前に契約していたものはどうなる?
生前に契約していたものは、相続人が契約を引き継ぐことになります。自動解約されるわけではありませんのでご注意ください。
放置していると口座から引き落としされ続けるでしょう。
口座が停止すればお金の引き落としは止まりますが、契約が解消されるわけではありません。
契約元によっては、遅延損害金を請求される可能性もあります。
しかし、天涯孤独の人にとっては、どうでもいいことかもしれません。
もし、事前に何かしておきたい場合は、死後事務委任契約が対策になります。
死後事務委任契約とは、個人が死亡した際に、死後の事務手続きや財産管理などを他者に委任する契約のことです。遺族や信頼できる代理人が、故人の死後にさまざまな法的手続きや手配を行うための方法として使われます。
例えば以下のようなことを委任できます。
- 遺体の引き取り
- 葬儀や納骨の手続き
- 遺品整理
- お墓の管理
- ペットのお世話
- Webサービスの解約
他にも細かく決めることができます。
死後事務委任契約を結べる相手は、弁護士や行政書士だけではなく、知人も対象にできます。
ただし、委任先を知人にするにしても、専門的な作業になるため、弁護士や行政書士にお願いした方がいいでしょう。
いまでは、「死後事務サービス」というサービスとして死後事務委任契約を提供している団体もあります。
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まとめ
天涯孤独の人が死んだらどうなるかを紹介しました。天涯孤独の人の死後の動きについては、そうでない人に比べて特別な流れになるでしょう。
なにか、死後の動きについて希望がある場合は、本記事の内容をふまえ事前に対策をしておきましょう。
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