「天涯孤独の人が犯罪を犯して刑務所に入ると賃貸や所持品ってどうなるんだろう?」
「出所時には身元引受人もいないけどどうなるんだろう?」
こういう疑問を持った方の疑問へお答えします。
天涯孤独の人が犯罪を犯して刑務所に入ったら賃貸や所持品はどうなる?
入居者が刑務所に入ってしまったら、当然部屋には住まなくなりますし、賃貸した部屋が放置されてしまいます。
賃貸契約や所持品がどうなってしまうのか解説します。
入居者が退去する手続きは2通り
まず、入居者が退去する手続きとしては、一般的に以下の2通りがあります。
①入居者が契約の解除に同意する
②明渡訴訟を行い立ち退きさせる
※「明渡訴訟」とは、家賃を長期にわたって滞納したり、契約違反している入居者を、物件から立ち退きさせるための訴訟
①入居者による契約の解除の同意の場合
入居者が刑務所に入ることになったら、オーナーが入居者と面会して、契約を継続するか解約するか確認します。
刑期が短い場合は、入居者も戻ったときのために、住居をそのままにしたいと考えるため、そのまま契約を継続します。
数年、数十年という長い刑期の場合は、家賃が無駄になるため、解約する方がいいと考え、解約になるでしょう。
②明渡訴訟を行い立ち退きさせる場合
仮に、面会もできない状態や、何らかの理由で意思疎通できない場合でも、家賃が銀行引落やカード払いで支払われ続けていれば、オーナーが勝手に解約したり、追い出したりすることはできないでしょう。
日本では入居者の權利はそれぐらい強いです。
家賃の支払いがなくなった場合は、まずは保証人に支払いを求めます。
保証人がいなかったり、保証人も支払わなかった場合は、明渡訴訟を行い、立ち退きさせるという流れになります。
部屋の所持品の取り扱い
部屋の所持品については、入居者と解約の同意をした場合と、明渡訴訟をした場合で、以下のような対応になります。
入居者が解約を同意した場合は、合わせて「残存動産所有権放棄書」という”賃貸契約した部屋にある所持品を放棄していいですよ”という合意書を作成します。
そして、オーナーが所持品を破棄します。
明渡訴訟で立ち退きになった場合は、強制執行により、所持品が撤去されます。
天涯孤独の人が犯罪を犯して刑務所から出たときの身元引受人は?
犯罪者が刑務所を出るという話題のとき、よく身元引受人のことが言われます。
しかし、身元引受人が必要なのは、保釈された場合です。
保釈を許可してもらうためには、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを証明する必要があります。そこで、被疑者を監督する役割として身元引受人が必要になります。
刑期を終えて、刑務所から出る場合は、身元引受人は必要ありません。そのため、天涯孤独の人でも問題なく出所できます。
天涯孤独の人は犯罪を犯すハードルが低くなる?
天涯孤独の人は、他の人に比べて犯罪を犯す可能性は高いのでしょうか?低いのでしょうか?
犯罪をやめようと思う要因から考えてみます。
犯罪をやめよう、思いとどまろうとする要因として以下のような内容が考えられます。
- 罪悪感がある
- 罰則がある
- 相手に迷惑をかける
- 親に迷惑をかける
このうち、天涯孤独の人には、「親に迷惑をかける」という抑止効果はありません。
そのため、あくまでも比較的な話になりますが、天涯孤独の人は、そうでない人に比べて犯罪を犯すハードルが低い境遇にいると言えます。
事例:ある貧しい高齢者の犯罪
ある貧しい高齢者の方が、刑務所に入りたくて、自転車を盗んで警察署に行き、逮捕されました。
そして、刑務所で1年を過ごします。
出所したら、今度は、刃物を持って公園に行き、公園にいた人を脅しました。目撃した人が通報して逮捕。
もちろん危害を加えるつもりはありません。
この高齢者は、刑務所に入りたかっただけ。
お金が底をついてしまい、刑務所ならただで住めそうだと思いついたそうです。
そして、天涯孤独でした。
実際に会った人の話では、犯罪を繰り返す人とはとても思えなかったそう。
もし天涯孤独ではなく、周りの助言やサポートのある状態だったら、犯罪を犯してなかったのではと感じます。
まとめ
天涯孤独の人が犯罪した場合の動きや制度について紹介しました。
天涯孤独かどうかに限らずですが、犯罪をしようと思わない世の中になるといいですね。
犯罪をするつもりで読んでいる人はいないと思いますが、ふと気になったという人のために解説いたしました。
参考にしていただけるとうれしいです。
【参考記事】天涯孤独の善し悪しについて▽