「就職する際には身元保証人を求められると聞いたけど、どうしよう・・・」
天涯孤独の方は、このような不安を抱えている人もいるかもしれません。
ここでは、
- 就職時の身元保証人とは何か?
- 天涯孤独の人向けの身元保証人の対策
についてお話しします。
就職時に身元保証人が必要な理由
まず就職時に身元保証人を求められる理由を理解しておきましょう。
相手の理由や背景を理解しておくと、納得感をもって対応できるようになります。
就職時の身元保証人とは?
就職時に求められる身元保証人は、一般的に以下のような役割になります。
- 会社の就業規則等を守り、誠実に勤務する人であることを身元保証人が保証すること
- 入社する人が会社に損害を生じさせた場合、身元保証人が賠償責任を負うこと
会社は、面接を行い、会社に合う人材かどうかを見極めた上で採用を決定します。
しかし、数回面接を行っただけで、その人のすべてを理解できるわけではありません。会社にとっては、実際その人がどんな人なのかがはっきりわからない状態で採用を決定します。
もしその人が、
- きちんと働かない人だったら?
- 損害を生じさせるような行いをする人だったら?
というリスクがあるのです。
そこで、第三者である身元保証人を立てて「誠実に勤務する人であること」また「会社に損害を与えた場合に、賠償責任を負ってもらうこと」を保証してもらい安心を得ます。会社にとっては保険のようなものです。
賠償責任については、当然本人が支払うのが先ですが、本人が支払えない場合は、身元保証人が支払うことになります。
身元保証人になれる人
身元保証人の条件は会社が自由に決められます。身元保証人を求めない会社もあるぐらいです。
そのため、身元保証人の条件は、会社によって異なります。
一般的には、親などの親族を身元保証人にすることが多いでしょう。
賠償責任を負うことになるため、安定した収入があることを条件にする会社もあります。
就職時の身元保証人のよくある疑問や不安
就職時の身元保証人についてよくある疑問や不安にお答えします。
身元保証人の記載を断ったらどうなる?
内定後(雇用契約成立後)の場合は、身元保証人の記載を断っても解雇されるようなことはないでしょう。
しかし、就業規定などの条件に、”身元保証人の記載”を掲げている会社の場合は、内定取り消しや解雇になる可能性はあります。
身元保証人の記載を断った場合のことは、2012年度の調査結果が参考になります。
身元保証人が提出されなかった場合の対応の回答結果が以下です。
引用元:「彦根論叢」の「現代の身元保証(2)2012年度実態調査」(2014年夏:滋賀大学経済学部発行)
提出されなかった場合には採用をやめると回答した会社が、19.8%です。
督促すると回答した会社は63.2%ですが、督促しても提出しなかった場合どうするかの回答結果が以下になります。
引用元:「彦根論叢」の「現代の身元保証(2)2012年度実態調査」(2014年夏:滋賀大学経済学部発行)
「採用取消しにしたり、必ず提出させる」と回答した会社もあれば、「要件緩和や提出免除をする」という会社もあります。
このように、対応方針は会社によって様々です。しかし、採用取消しのリスクはあります。
そのため、身元保証人がいない場合でも、いきなり提出を断るのではなく、どうすればよいか会社に相談するスタンスでのぞむのがよいでしょう。
賠償額に上限がないのは不安
身元保証人になる人にとっては、賠償額に上限がないと万が一の際に支払えるかどうか不安になりますよね。
ただし、現在は上限の指定がない身元保証人契約は無いはずです。
2020年4月に施行された改正民法の第465条の2第2項で、「賠償額の限度額を定めていなければその効力を生じない」とされています。
そのため、基本的には、身元保証人の取り決めに限度額の記載があると思います。もし記載がない場合は無効になります。
期間がないのは不安
就職すると定年まで働く方も多いでしょう。そんなに長い間、身元保証人でいることを負担に感じる人も多いと思います。しかし、その点はご安心ください。
「身元保証に関する法律」の第1条で、期間の定めがない場合は一般的に3年とされています。
また、同じく第2条第1項によると、期間を定めた場合でも最長で5年にしかできません。
自動更新というものは無く、更新する際には、新たに契約を締結する必要があります。
期間が過ぎても会社から更新を求められないけど大丈夫?
最大で5年経過すると効力を失う身元保証契約ですが、改めて身元保証人の記載を求める会社は少ないです。
長い間、問題なく働いていて信用できるため、新たに記載を求めるほどのリスクはなくなっているという考えからかもしれません。
高額な商品を扱うような会社など、一部の会社は新たに記載を求めることもあるようです。
身元保証人を求める企業はどれぐらいあるの?
少し古いですが2012年の調査結果が参考になります。
以下の調査結果を見ると、2012年時点では74.8%の会社が身元保証人を求めていることがわかります。
引用元:「彦根論叢」の「現代の身元保証(1)2012年度実態調査」(2014年春:滋賀大学経済学部発行)
1936年や1963年の調査とくらべると減少傾向ではありますが、いまでも多くの企業は身元保証人を求めているのが現状です。
天涯孤独の人向けの就職時の保証人の対策
ここまで、就職時の身元保証人の基本的な情報を整理しました。
では、天涯孤独の人は、就職時に身元保証人の記載を求められた場合、いったいどうすればいいのでしょうか?
いくつかの対策をあげます。
①会社に相談する
まずは、会社に事情を伝え相談してみましょう。
身元保証人の記載をどれぐらい重要視しているかは、会社によってまったく異なります。
やむを得ない事情を考慮して、身元保証人の記載なしで入社させてくれる会社も十分あるでしょう。
②知人に相談する
信頼のおける知人がいる場合は、知人に身元保証人になることを相談してみることも選択肢のひとつです。
しかし、身元保証人は賠償責任を負うという重たい責任というイメージがあります。そういうことを知人にお願いすること自体が信頼関係をこわしてしまうことにつながりかねません。
借金ではないため、実際にはそこまで重たい責任ではないと思いますが、相談する際は慎重に進めた方がいいでしょう。
また、会社によっては知人を身元保証人にすることを許可しない可能性もあるため、会社とよく相談した上で行いましょう。
③身元保証サービスを利用する
身元保証人の記載が必須で、記載してくれる人がいない場合は、身元保証サービスの利用を検討しましょう。
身元保証サービスとは、身元保証人を代行してくれるサービスです。
企業が提供するサービスで賠償責任を負ってくれれば、会社にも安心してもらえるかもしれません。
数万円の費用はかかりますが、入社できなくなるよりはいいでしょう。
信頼できる身元保証サービスを選んで利用するようにしましょう。
まとめ:身元保証人の問題を解決して仕事に集中しよう!
天涯孤独の方が就職時に身元保証人を求められた場合の対策についてお話ししました。
①会社に相談する
②知人に相談する
③身元保証サービスを利用する
天涯孤独の方は、手続き面でこまることが意外とありますが、解決策もあります。
親などの親族がいる方にくらべると、不利な点が多いと感じるかもしれません。しかし、そこまで大きな不利でもないと思います。
自分の人生をより良くするため、ポジティブに考え、仕事に励んでいきましょう!
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