「入院時には保証人が必要と聞いたことがある」
「もしかして保証人がいないと入院できないの?」
と、天涯孤独の方は、自分が病気や手術で入院する場合のことに不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
結論としては、天涯孤独の方でも入院できないということはありません。
ここでは、入院時に保証人が必要な理由や、保証人がいない場合の対策について紹介します。
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入院時に保証人が必要な理由
入院時に保証人が必要な理由はいくつかあります。一般的な理由をひとつずつ見ていきます。
①入院費用の保証人
最も大きな理由が、入院患者が入院費用を支払えない場合に、代わりに支払う役割としての保証人です。
- お金が足りなくて払えない
- 支払いを拒否している
など、入院患者が何らかの理由で入院費用を支払わない場合、保証人が代わりに支払うことになります。
②緊急連絡先
緊急連絡先としての役割もあります。
- 治療において想定外のトラブルがあった
- 患者が病院から抜け出した
など、保証人に連絡して対応を求める場合があります。
③死亡時の身柄の引き取り
入院には死亡のリスクを伴う場合もあります。
万が一の場合、身柄の引き取りを行うのも保証人の役割の一つです。
④治療方針の説明の同席
重篤な病の場合など、治療方針の説明に保証人の同席を求められる場合もあります。
⑤入院中に必要な生活用品の準備
入院中に必要な生活用品(衣服など)の準備を求められる場合もあります。
長期に入院する場合に、とくに必要になります。
入院時の保証人になれる人
一般的には、親族が保証人になることが多いでしょう。
しかし、病院によっては保証人になる人に要件を設けているところもあり、誰でもなれるわけではありません。
参考に、総務省が沖縄県内の病院に「連帯保証人の要件」を聞いた結果を紹介します。
連帯保証人を求める12病院(公立 10、民間 2)のうち、7つの病院が患者と別世帯・別住所であることを要件としてあげています。他にもいろいろな要件があります。
このように、病院によっては保証人に要件があるため、保証人を求められた場合は病院に要件を確認しましょう。
天涯孤独で入院時に保証人がいないとどうなる?
ここまで入院時の保証人について話しましたが、天涯孤独で保証人がいないと入院できないのでしょうか?
これについては、ご安心ください。
厚労省が発行した「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」にて、医師法第19条の応召(おうしょう)義務により、正当な事由なく拒んではいけないとされています。
医師法第19条第1項
「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」
保証人がいないだけでは、正当な事由には該当しません。天涯孤独の方でも入院できます。
ただし、応召義務があるからといって、費用を払わなくても入院できるというわけではありません。
同じく厚労省発行の「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」には、患者の迷惑行為や医療費不払いなど悪質なケースは正当な事由に該当することが記載されています。
入院費は当然支払う必要があります。
天涯孤独の人向けの入院時の保証人の対策
応召義務があるから入院できるといっても、病院から保証人を求められることがほとんどでしょう。
保証人の役割は入院費の肩代わりだけではありません。保証人がいた方が、病院にとっても患者にとっても助かります。
では、天涯孤独で保証人がいない人はどうすればいいのでしょうか。
3つの対策を紹介します。以下はそれぞれの対策でできることの比較表です。
一般的な保証人の役割だけでなく、天涯孤独の身として死亡時に必要な「葬儀・納骨」「死後事務支援」も含めて比較しています。
できること | ①知人に頼む | ②クレジットカード登録 | ③身元保証サービス |
---|---|---|---|
入院費用の保証人 | 保証人ではないが保証扱い | ||
緊急連絡先 | |||
死亡時の身柄引き取り | 知人次第だが頼みにくい? | ||
治療方針の説明の同席 | |||
生活用品の準備 | 知人次第だが頼みにくい? | ||
葬儀・納骨 | 知人次第だが頼みにくい? | ||
死後事務支援 | 知人次第だが頼みにくい? |
対策①:知人に頼む
信頼のおける知人がいる方は、知人で良いか病院と相談の上、知人を保証人にすることも選択肢になります。
しかし、知人にもできることとできないことがあるでしょう。
「保証人にはなれるけど、葬儀や納骨までやるのは荷が重い」
「生活用品の準備をできるほど時間的余裕がない」
「死後事務についてはやり方がわからない」
など、お願いするのが難しい内容もあるでしょう。
対策②:クレジットカード番号の登録
病院によっては、クレジットカード番号を登録を求めることで、入院費の心配をなくす取り組みをしているところもあります。
クレジットカード払いにしておけば、万が一の場合の費用の取り立てはクレジットカード会社が行うことになるからです。
入院費の保証の部分だけの対策であれば、この方法が有効です。
しかし、緊急連絡先や生活用品の準備など、その他のことについては別途対策する必要があります。
対策③:身元保証サービス
独身で老後をむかえる人が増えている中、身元保証サービスを提供している団体も増えています。
身元保証サービスは有償ではありますが、以下のような幅広いサポートをしてくれます。
- 入院の保証人の役割だけでなく、喪主を代行して葬儀・納骨を執り行ってくれる
- 死亡届の提出、年金の停止手続き、入院費など各種清算手続き、電気・ガス・携帯電話などの契約終了手続きのような様々な死後手続きを代行してくれる
サービスによって提供している内容や条件は異なりますので、よく内容を確認して契約することをおすすめします。
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まとめ:天涯孤独でも問題なく入院できる
病院が保証人を求めるのはそれなりの理由があるからです。
・入院費用の保証人
・緊急連絡先
・死亡時の身柄の引き取り
・治療方針の説明の同席
・入院中に必要な生活用品の準備
病院や入院理由によって保証人に求める役割は変わるでしょう。
天涯孤独の方でも問題なく入院できますが、どんな理由で保証人を求められても対応できるように、あらかじめ必要な手続きや身元保証サービスについての知識を身につけておくことは重要です。
できること | ①知人に頼む | ②クレジットカード登録 | ③身元保証サービス |
---|---|---|---|
入院費用の保証人 | 保証人ではないが保証扱い | ||
緊急連絡先 | |||
死亡時の身柄引き取り | 知人次第だが頼みにくい? | ||
治療方針の説明の同席 | |||
生活用品の準備 | 知人次第だが頼みにくい? | ||
葬儀・納骨 | 知人次第だが頼みにくい? | ||
死後事務支援 | 知人次第だが頼みにくい? |
突然不安になったり、困ったりすることのないよう、必要な知識を身につけておきましょう!
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